2023年の通常国会で、「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」(以下、「住宅セーフティネット法」)が改正されました。この改正により、住宅確保に配慮が必要な方々の住まいの確保がさらに進められることとなります。本記事では、改正内容やその背景、今後の展望について詳しく解説します。
日本では、単身世帯の増加や持ち家率の低下が進んでおり、特に高齢者や低所得者、障害者などの住宅確保に対するニーズが高まっています。2030年には単身高齢者世帯が約900万世帯に達する見込みで、賃貸住宅への入居がますます重要な課題となっています。
【point①】単身高齢者世帯の増加: 2030年には900万世帯に迫る見通し
【point②】全国の空き家状況: 約900万戸のうち、賃貸用は約443万戸(2023年住宅・土地統計調査)
改正された住宅セーフティネット法では、以下の主要な改正が行われました
1. 大家と要配慮者が安心できる賃貸市場の整備
・終身建物賃貸借の利用促進
賃借人の死亡時まで更新がなく、死亡時に終了する賃貸借契約を簡素化し利用を促進します
(これまで⇒住宅ごとの認可、これから⇒事業者ごとの認可へ)
・残置物処理の推進
入居者の死亡後の残置物処理を居住支援法人がサポート
残置物の処理等に関するモデル契約条
・家賃債務保証業者の認定制度
要配慮者が利用しやすい家賃債務保証業者を国土交通大臣が認定し、保証リスクの低減を図ります
2. 居住サポート住宅の認定制度
・居住サポート住宅の供給促進
居住支援法人が安否確認や見守りを行う住宅(居住サポート住宅)の認定制度を創設します
居住安定援助賃貸住宅
・生活保護受給者の家賃代理納付
生活保護受給者が入居する場合、住宅扶助費の代理納付が原則化されます
3. 地域の居住支援体制の強化
・居住支援協議会の設置
市区町村で居住支援協議会を設置し、地域全体で住まいに関する支援を行います
地域の居住支援体制